発行冊子の紹介


第71号 2013年 3月 発行

   目次
【71巻頭言】
2012年・古代史総括                森岡秀人
乙訓(弟国)と土師氏                 中村 修
会員広場【小休止】
壬申の乱と渡来安羅人                 渡部正路 
アンデス通信(24)                 市木尚利
方位論再考Ⅱー断夫山は尾張氏か(1)         尾関 章
囲繞の系譜                      重村英雄
「邪馬台国論争」の新視点と新視野(続)        尾関 章
 
【巻頭言】「海」との出会い              重村英雄
 もう25年ほど前になる。私が参加していた同人誌『古代史ファン』の主宰者・菊池清光氏や堀井晃氏に同行させて頂き、丹後半島の古代遺跡を探訪した。日本海の古代文化との初めての出会いである。当時、門脇禎二氏の提唱する丹後王国論が脚光を浴びており、見るもの一つ一つに新鮮な驚きと感動を覚えた。この旅は、私が本格的に古代史と取り組む切っ掛けにもなった。以来、私は『芸術新潮』に掲載された「逆さ地図」、日本海を軸に上下を引っくり返した逆転地図のコピーを部屋に貼り、それを眺めては「海」を巡る古代史世界に思いを馳せていた。
 『古代日本海文化』の終刊後、しばらく「海」との繋がりは希薄になっていた。しかし昨年、壱岐・対馬、そして韓国から日本海を見つめる機会を相次いで得て、更に有明や不知火海に初現期の石室墳、児島や相島、長島に残る特異な積石塚を訪れた事で、「海」と再会する事になった。白崎昭一郎が指摘するように、日本海を巡る地域の古代史探究が、「日本文化の発祥・古代国家形成の問題の解明」の一助のなる事は、自明の理であろう。『古代史の海』は、『古代日本海文化』を継承し、新たな「広い海」(中村修・47号「卷頭言」)を志して航海を続けている。本誌にとって、「海」は忘れてはならないキーワードである。改めて、私も「海」を見つめ直したいと、思いを深めている。