発行冊子の紹介


第70号 2012年12月 発行

   目次
【70巻頭言】
蘇我氏と『金光明経』                 河越尚司
武光誠『テラスで読む邪馬台国の謎』を読む       中村 修
「邪馬台国論争」の新視点と新視野           山中光一

会員広場【小休止】
広瀬勾原の■衣←■=白+十              渡部正路 
アンデス通信(23)                 市木尚利
新刊紹介 中村修『乙訓の原像・続編』         上遠野浩一
『乙訓の原像・続編』の感想              中村 修
方位論再考Ⅰ-拙稿へのコメントに触発されて-     尾関 章
「訛」と「誤」のあいだ                長野 靖
「ワニ考」追補                    野田昌夫
卑弥呼の郷?斉明天皇朝倉宮伝承地 朝倉市を訪ねて   河野宏文  
【再録】
『五条古代文化』『古代日本海文化』『古代史の海』創刊・終刊のことば
【巻頭言】対馬に行く                 半沢英一
 私にとって対馬は一度訪ねたい場所だった。しかし、日露戦争後の第二次日韓協約に反対し、連行先の対馬で 日本軍からの給食を拒否、餓死・殉国した崔益鉉の史実が、古代史趣味だけの対馬探訪を私にためらわせていた。けれども三年前、日露戦争を美化する『坂の上の雲』を批判した本を出版、崔に顔向けできるように感じ本年秋に対馬を訪れた。
 倭人伝の記述「山険しく、森林多く、道路は禽鹿の径の如し」を実感し、塔の首遺跡や各地で出土した大量の広型銅矛を見て回り、魏使が通過し、「方四百里」と称したのは上県郡たという年来の想定をほぼ確信した。泊まった厳原では、正徳と享保の二回に渡り朝鮮通信使を接待した対馬藩儒、雨森芳洲と松浦霞沼の墓も参拝した。
 竹島=独島問題で日韓関係が悪化した後、韓国からの観光客は激減したというが、私は一日で三グループに出会った。厳原で最初に訪ねた崔益鉉記念碑には新しい花が捧げられていたが、おそらくはそれらの人々によるものであろう。歴史を学ぶものは国家の宣伝や感情的世論に惑わされることなく、きれいごとではすまされない歴史を見つめたいものである。