発行冊子の紹介


第39号 2005年3月20日発行

    目次
【39巻頭言】                  白崎昭一郎     
「約束の地」神話の虚構性             半沢 英一     
日本で出土した尚方鏡(平原王墓出土鏡)      白井 良彦     
【小休止】
浄土寺古墳群(三号墳)発掘現地説明会報告     河野 宏文     
第38号を読んで                 蘆田 東一     
古代日本の土木(その2)             森   章     
錯覚を誘う地図                  中村  修     
伏犠・女カ図の図形的解釈             大谷 幸市     
【巻頭言】 インドの過去と将来          白崎昭一郎
このほど私はインドを約2週間にわたって旅行してきた。インドの地を踏んだのは初めてであったが、きわめて強烈な印象を受けた。 5千年前のインダス文明以来、幾多の興亡を繰り返してきたインドは、現在人口10億を超え、高い経済成長率を誇ってはいるが、貧富の懸隔はきわめて大きく、カースト制度の克服もなお十分ではないように見えた。駅などの繁華街には、物乞い 、大道芸人、靴磨きの少年少女が蝟集し、学校に行っている様子も見えないから、身分の上昇は期し難いし、せっかくの数多の年少人口が生産人口として活用されていない。 紀元前5世紀に釈尊を生み、3~7世紀に仏教芸術の精華を産んだインドにおいて、何故に仏教は衰退したのであろうか。要するに階級擁護に努めるヒンドウー教に、四民平等を説く世界的宗教の仏教が敗れたということなのであろう。これは重大なことであって、インドの将来にも暗影を投げかける。 ガンジーは「人は生まれながらにして自由で平等である」と説いたが、その理想が現在のインドで生かされているとは、と うてい思われない。余りの経済的較差を何とか是正する政策が取られない限り、近い将来にインドが中国を追い越すことは困難なのではないだろうか。